四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件

-経緯-
平成16年2月7日午後1時頃、三重県四日市市のジャスコ四日市尾平店(現、イオン四日市尾平店)で男性Aさん(当時68歳)が買い物帰りにお金を引き出そうと、同店にあるATMコーナーに入った。すると、それを近くで見ていた子供連れの若い女がATMコーナーに入るなりAさんと揉み合いになり、突然女が「泥棒!」と叫んだ。それを聞きつけた買い物客3人が、Aさんを取り押さえようと揉み合いになった。

そこへ、別件の万引き事件の処理で現場に居合わせた四日市南警察署の警察官2人が、Aさんを組み伏せて後ろ手に手錠をかけてうつ伏せの状態で約20分間も拘束した。この間、Aさんは起き上がろうと頭を上げると警察官は地面に頭を押さえつけたためメガネは破損。嘔吐もしているのに、この警察官の拘束は続いた。

その後、応援で駆けつけた警察官が現場に着くと、すでにAさんの意識は無く、あわてて病院に搬送したが、翌日になって高度のストレスによる高血圧性心不全と不整脈により死亡した。警察は、被疑者死亡としてAさんを書類送検した。尚、子供連れの若い女は、この騒ぎの中、現場から逃走した。

-事実無根の誤認逮捕-
その後、ATMに設置されている監視カメラから、子供連れの若い女は、ATMコーナー付近を物色している様子がはっきり映っていた。そこへ、無実のAさんがお金を引き出そうとATMコーナーに入るなり、すぐ女が入ってきてAさんに何かを言っている。恐らくAさんに金を要求したのだろう。必死で財布を守るAさんに、腹いせなのか大声で「泥棒」と叫ぶ女。

その後、68歳という高齢のAさんに羽交い絞めで取り押さえた買い物客や警察官の拘束。Aさんは、何がなんだか分からないまま亡くなった。しかも、容疑者として。68年間生きてきて、最後はまさか警察官に殺されるとは夢にも思っていなかっただろう(四日市南警察署では、一般的な制圧行動だったと発表している。勿論、この警察官も殺意があって行なった行為でないことは分かるが、高齢者をうつ伏せで20分間も拘束すれば、その先は想像できることではないか。結果としてAさんは亡くなった)。

-1万2500円-
警察は、その後になって誤認逮捕であることを認めた。そして、逃走した子供連れの女に対して、虚偽告訴罪の容疑で捜査を行なったが杳として行方が分からないまま平成23年2月17日に時効を迎えた。尚、驚くことに、財布はAさんの物であることが認められたのは事件から8年後であった。つまりは、Aさんに対する窃盗罪そのものが成立していなかったのである。

Aさんの遺族は、民事裁判で警察官の度を越した拘束により死亡したとして、三重県を相手取り約5700万円の損害賠償訴訟を起こした。これに対し三重県は、対応は適切だったとして全面的に争う姿勢を示した。

平成22年11月、津地裁は原告の訴えを一部認めて三重県に880万円の支払いを命じた。だが「警察官の制圧行為は必要かつ相当な限度を超え違法」と認めたものの死亡との因果関係は認めなかった。これを不服として遺族側は控訴。

平成23年5月になって津地方検察庁は、Aさんの無実を認め、被疑者補償として1日分の最高額である1万2500円を遺族に支払うと遺族に通知。同年9月、名古屋高等裁判所の控訴審は、「警察官の捕り押さえが違法だった」として三重県に対して3640万円の支払いを命じる判決を下した。Aさん、さぞ悔しかったであろう。ご冥福を祈る。そして、その女は今どこで何をしているのだうか。


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