奈良市女児誘拐殺人事件


−経緯−
平成16年11月17日午後1時50分頃、新聞配達員の小林薫(当時36歳)は女児を誘拐していたずらをしようと計画。奈良県奈良市内学園中の路上で下校途中の小学校一年生・K子さん(当時7歳)に、「車で送ってあげる」などと言葉巧みに誘って知人から借りていた車の助手席に乗せて誘拐した。

小林は、誘拐現場から10キロほど離れた奈良市三郷町にある自宅のアパートに女児を連れ込み、K子さんの頭を水がはってある浴槽に押さえつけ殺害した。殺害後、小林はK子ちゃんの歯を抜くなど残忍な手口で証拠隠滅を図った。また、K子さんが首からぶら下げていた携帯電話を使ってK子さんの遺体を撮影。この画像をK子さんの母親に送りつけるなど異常な行動をとった。

その後、小林はK子さんの遺体を車に乗せて、誘拐現場から約6キロ離れた同市平群(へぐり)町の宅地造成地の道路側溝に遺棄した。小林は、アリバイ作りのためかK子さん殺害後、スーパーで買った野菜を勤務先の新聞販売店で同僚に配ったり、行きつけのスナックに顔を出したりした。

−捜査−
一方、K子さんの両親は娘が誘拐されたとみて警察に通報。通報を受けた奈良西署が緊急配備をしていたところ、翌日午前0時6分、道路側溝にうつ伏せで倒れていたK子さんの遺体を発見。警察は、直ちに誘拐及び殺人事件として捜査本部を設置した。

捜査本部は、K子さんが誘拐されたところを目撃していた同小学校の女児2人に事情を聞いたが、K子さんが乗り込んだ車は、「緑色の自動車だった」という以外に手掛かりは掴めなかった。また、K子さんが持っていた携帯はGPS機能付きだったが、電源が切られているため追跡ができなかった。

だが、犯人からK子さんの遺体画像を送ってきた通信記録を携帯電話会社に照会すると、平群町、三郷町と斑鳩町、王寺町にまたがる地域であることが判明した。また、翌月12月14日、K子さんの母親に、「次は妹の番だ・・・」という内容の脅迫メールも同様に同一地域からの発信だった。更に、K子さんの携帯に登録されていない携帯にもメールが送信されていることが判明。この所有者を調べると小林薫にたどり着いた。

そこで、捜査本部は小林の内偵を行った。すると、小林は平成3年7月、大阪市内で女児にいたずらして、強制わいせつ罪で起訴されたのをはじめ前科があることが判明した。また、小林の行きつけのスナックでも店の従業員や客に、携帯電話にデータファイルされていた子供の性的暴力画像を見せて一人悦に入っていたなどの証言を得た。

この結果、捜査本部は12月30日午前、新聞配達を終えて店に戻ってきた小林を任意同行を求めて警察署で事情聴取した。と同時に、小林のアパートを家宅捜査した結果、K子さんのランドセルを発見。さらに殺害当日に送られてきた遺体画像の背景に写っていたカーペットやクッションから血痕が発見された。この証拠を突きつけられた小林は、K子さん殺害を認めたため同日、誘拐および殺人容疑で逮捕した。

−生い立ち−
小林は、大阪市内で出生。3人兄弟の長男として育ったが、小学校4年生の時に母親が3男の出産で死亡。この時の悲しさを、「ぼくは、5時間以上もないた」と小学校の卒業文集につづった。3男は重度の障害であったため、同居していた祖母はつきっきりの状態となり、小林は構ってもらうことがなかった。必然と孤独感が支配していった。また、家庭も経済的に恵まれていたわけではなかった。このため、小林は小学校の頃から新聞配置のアルバイトをした。

中学校を卒業と同時に就職したが、勤務先では長続きせず新聞販売店を転々とした。大阪の新聞販売店では、20万円の金を持ち逃げしたり同僚とトラブルを起こしたり評判はすこぶる悪かった。

−死刑確定−
平成18年9月26日奈良地裁は小林に対して、「女児の遺体を傷つけた行為に対しては゛死者への尊厳が感じられない冷酷、非情な犯行だ゛と断じ、遺族の処罰感情も極めて強い」としたうえで死刑を言い渡した。小林は、公判では終始反省した態度は見られず、「全国から注目されて自分の名が残ることに満足している」、「早く死刑にしてほしい」と供述していたとおり、控訴せず死刑が確定した。

その後、小林は収監先の大阪拘置所から弁護士に、K子さんの両親へ謝罪の手紙を託していたことが判明した。「霊界というものが存在し、お嬢さんに会えたら、心から誤りたい」という内容だったが、これに対してK子さんの両親は、「謝罪を聞いても娘が帰ってくるわけではない」と手紙の受け取りを拒否した。

-死刑執行-
自ら控訴せず死刑が確定した小林は、その後一審判決の一部に不服があるとして控訴の申し立てをして却下された。更には再審請求をするなど「生」への意欲をみせた。だが、平成25年2月21日、大阪拘置所で死刑執行となった。


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