太田市・幼児失踪事件


−経緯−
平成8年7月7日午後2時頃、群馬県太田市内のパチンコ店から横山ゆかりちゃん(当時4歳)が失踪した。この日、ゆかりちゃんの両親は、ゆかりちゃんと生後7ヶ月になる次女を連れて午前10時30分頃パチンコ店に入った。その時、ゆかりちゃんは景品の花火を楽しみにしていたという。昼食を挟んで午後もパチンコに熱を入れていた両親が、ふと気付くとゆかりちゃんの姿が見えないことに不安を抱き店内を捜したが、ゆかりちちゃんはどこにもいなかった。

両親が、ゆかりちゃんを最期に目撃したのは午後1時50分頃で、母親に向かって、ゆかりちゃんは何かを告げたのだが店内の騒音で聞き取れなかった。それを最期に行方が分からなくなった。ゆかりちゃんの両親から届出を受理した大田署は、誘拐の線も考慮して直ちに緊急配備を敷いたが、その後のゆかりちゃんの行方は杳として掴めなかった。

−ビデオに映っていた不審な男−
大田署は、9日になって約100人の捜査員を動員してパチンコ店とその周辺を大捜索したが手掛かりは掴めなかった。それとは別の捜査班が、店内に設置されている防犯ビデオに不審な男が映っていることを発見した。それによると、男は身長158センチ前後と小柄で、ニッカボッカを穿き帽子にサングラスという格好でパチンコをするでもなく店内を物色している姿が映っていた。

やがて、男はソファに座っているゆかりちゃんに話しかけている様子が映っていた。その直後、ゆかりちゃんは母親の所へ行き何かを告げたのだが、上述の通り店内の騒音で母親は聞き取れなかった。

大田署は、この男を重要参考人として手配をすると共に報道機関にビデオテープを提供し幅広く情報の収集に努めた。だが、有力な情報を得ることはできなかった。遊戯協会も、「情報を求む!」とパンフレットを作成。有力情報者には200万円の懸賞金を提供すると呼びかけたが、これも効果は無かった。

−謎の失踪地域−
ゆかりちゃん失踪事件は、市内はもとより近隣の市民に不安と恐怖を抱かせた。というのは、この太田市に隣接する栃木県足利市で平成2年5月に発生した「足利事件」や昭和54年のマヤちゃん事件、同59年のユミちゃん事件など幼児失踪殺人事件が連続していたのである。しかも、今回のゆかりちゃん事件と同様に足利幼女殺害事件もパチンコ店から忽然と姿が見えなくなったという点で同一犯人の仕業と考えられた。

だが、足利事件だけは、幼稚園バス運転手(当時)の菅谷利和が犯人であるとして逮捕された。本人は犯行を否認して最高裁まで争ったが、結局菅谷に無期懲役が確定した。この事件は、当初から菅谷は冤罪であるとの見方も多かった。それを否定するように栃木県警は、「菅谷逮捕後、類似事件は発生していない」と胸を張っていたが、それから6年後に同様の事件が起こった。このことは、菅谷は冤罪ではないかとの見方を益々強くしている(平成21年6月4日、DNA再鑑定で幼児のシャツに付いていた体液と菅谷の体液は不一致との鑑定結果により釈放された)。

いずれにせよ、足利幼女殺害事件以外の幼女失踪及び殺害事件は全て未解決となっている。これは、群馬県警(太田市)と栃木県警(足利市)の縄張り意識が強く、相互の情報交換や協力体制がないため、事件を連続性と見ず単発的な事犯として捜査した結果なのではないかと指摘する声も根強い。


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