杉並・資産家老女殺害事件


−経緯−
平成2年1月1日の元旦、神奈川県津久井郡藤野町の中央高速道路の高架下で、腐乱死体が入ったトランクが地元住民によって発見された。直ちに、警察が現場に駆けつけ現場検証を行った。その後、捜査本部は遺体の状態と行方不明者届けを照合し東京都杉並区の資産家・遠藤ウメさん(当時82歳)であることをつきとめた。

早速、捜査本部はウメさんの身辺捜査を開始したところ、ウメさんの所有するアパートに入居していたA子(当時47歳)が前年の10月頃から行方不明になっていることが判明した。ウメさんも、ほぼこの時期に行方不明となっており、A子が事件に何らかの形で関わっているとみて行方を追った。

−善良な老女をだまし討ち−
捜査本部がウメさんの周辺捜査をした結果、驚くべき事実が次々に発覚した。A子は前年の平成元年6月末にウメさんのアパートに入居。その頃から積極的にウメさんに近付き二人で温泉旅行に行く仲になった。一方、A子はウメさんの長女(当時44歳)が長期入院していることを知ると、勝手に知人のB(当時38歳)と結婚話を持ちかけて婚姻届を提出し事実上の夫婦にしてしまった。

さらに、ウメさんの所有していたアパートや土地など全ての不動産が世田谷区にある不動産会社に売却されていることが判明。捜査本部は、この不動産会社から事情を聞くと、この物件の仲介者は中古者販売ブローカーの岡下香(当時42歳)であることがわかった。当時、ウメさんの不動産の権利書は別居していた長男が所有していたが、岡下はBと連名で不動産の権利書を焼失したと虚偽申請して保証書を作成。この保証書を使って不動産会社に2億800万円でウメさんの不動産を売却していた。

3人の関係は、A子は広島県に3人の子供を残して岡下と駆け落ち。Bは、以前岡下が経営する会社の社員だった。警察庁は「準広域重要5号事件」に指定し、3人を全国に指名手配した。

−5年後事件解決−
捜査本部は3人の行方を懸命に追ったが、手がかりはまったく掴めなかった。平成3年7月23日、岐阜県養老郡上石津町の山林で男の首なし遺体が発見された。警察の捜査で、Bの遺体であることが判明したが、そこからの手かがリも掴めなかった。

ウメさんの遺体発見から5年後の平成7年6月28日、茨城県新治郡千代田町でスナック経営の中村と名乗る夫婦が覚せい剤取締り違反の容疑で逮捕された。地元の女性(当時28歳)が、テレホンクラブで知り合った中村から覚せい剤を射たれたと警察に通報してきたためであった。

茨城県警は中村の家宅捜査をしたところ、覚せい剤16グラムと拳銃及び実弾6発を発見し押収した。茨城県警は中村夫婦を厳しく追及したところ、2人は全国に指名手配されている岡下とA子であることが判明した。

駆けつけた警視庁捜査本部は2人を厳しく追求した結果、ウメさんとBの殺害を認めたため殺人と遺体遺棄などの容疑で緊急逮捕した。岡下は、不動産売却の発覚を恐れて平成2年11月1日未明にウメさんを絞殺してトランクに詰めて遺棄したこと。また、その3日後に金の配分で揉めたためBを岐阜県の山林で射殺し首を切断して遺棄したことを認めた。さらに、騙し取った金の内、1億1000万円を借金返済や投資に使ったと自供した。

平成11年3月11日東京地裁は、「犯行は計画的と断定できない」として岡下に無期懲役、A子に懲役5年を言い渡した(A子は確定)。これを不服とした検察側は控訴。平成13年5月17日東京高裁は、「犯行は明らかに計画的である」として一審判決を破棄して岡下に死刑を言い渡した。平成17年3月3日最高裁は岡下の上告を棄却し二審判決を支持。これにより、岡下の死刑が確定した。

平成20年4月10日、東京拘置所で死刑執行。享年61歳。


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