足立強盗殺人事件(警察庁指定121号)


−経緯−
平成5年12月20日午後7時50分頃、東京都足立区入谷のマンションで小林正さん(当時59歳)が、自宅の廊下で倒れて死亡しているのを帰宅した長男が発見し警察に通報した。小林さんは、自分が経営するマンションの一戸を自宅として住んでいた。

警視庁捜査1課と西新井警察署は、強盗殺人事件として現場検証と捜査を開始した。また、小林さんの司法解剖では頭部を強打され腹部を鋭利な刃物で複数刺されており、これが致命傷となって死亡したことが判明した。

犯行現場は、タンスや引出しが荒らされ現金数百万円入りの金庫が無くなっていた。この金庫は重さ30キロ以上もあり、1人で運び出すのは困難であることから複数の犯行であることが推定された。また、1メートルのバールが現場に残されていたことから、犯人らは小林さん宅に金庫があることを知っていた可能性があるとみて、内部事情に詳しい者の犯行も視野に入れて捜査を進めた。たが、犯人へ結びつく手掛かりは杳として掴めなかった。

−広域重要指定121号に−
足立事件から4ヵ月後の平成6年4月に住所不定で無職の下山信一(当時33歳)とマレーシア国籍で元暴力団の黄奕善(当時25歳)の2人が滋賀県八日市市で起きた金融業殺人事件で滋賀県警に逮捕された。この事件は、前年の10月27日に八日市市の金融業・小山幸男さん(当時53歳)が殺害され現金1400万円が入っていた金庫が奪われた事件だった。

警視庁と西新井署の合同捜査本部は、足立事件の犯行手口が滋賀事件と似ていることから滋賀県警に事件の照会をした。その結果、下山と黄は足立事件の犯行を自供したため5月10日に滋賀県警は2人を再逮捕した。

滋賀県警は、更に余罪があるものとみて厳しく追及したところ殺人事件を含めて他の犯行を自供したため、同月18日に警視庁は重要広域指定121号に指定して2人を徹底的に取り調べた。

その結果、2人は以下の5件の犯行を認めて詳しい供述を行った。@滋賀事件、A平成5年10月8日に静岡県沼津市のパチンコ店を襲い現金1048万円を奪って逃走した強盗事件、B同年12月10日、東京都足立区で金融業者への強盗殺人未遂事件、C同月12日、群馬県高崎市のゲーム喫茶店で経営者を射殺して現金を奪った強盗殺人事件、D同月20日、足立事件。

−グループの専業化−
下山らの供述から、犯行は関東と近畿の2グループに分けて、地域別に専業していたことが判明した。足立事件では、小林さんが裕福で自宅の金庫に高額の現金が入っていることを知っていた自動車販売業の鈴木文夫(当時45歳)が手引き役、見張り役が自動車運転手の松沢邦彦(当時34歳)。沼津事件では、無職の吉田静史(当時29歳)、暴力団の佐藤秀男(当時50歳)、同・片山正(当時50歳)らが犯行に加わっていた。

主犯の黄は、「通訳に誤訳があった。殺意はなかった」と主張したが、平成16年4月19日に最高裁で上告が棄却され死刑が確定。下山も同じく、「殺意はなかった」と主張したが、平成17年9月16日に最高裁で上告が棄却され死刑が確定した。


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