塗装業者誘拐殺人事件(警察庁指定118号事件)


−経緯−
平成3年5月1日午後8時頃、千葉県市原市の塗装業社長の高崎勇一さん(当時52歳)が3人組みの男に誘拐された。当日午後7時50分頃、高崎さん宅に男の声で「塗装の仕事の依頼をしたい」との電話があった。そこで、高橋さんは男が指定した近くの中学校正門前に行ったところ突然2人の男が現れて高橋さんを無理やり車に連れ込み拉致した。途中、もう1人の男が車に乗り込んできたが、高橋さんは布袋を頭からかぶせられて詳しい状況はわからなかった。

3人組みは高橋さんに「3000万円で殺しを請け負った。命が惜しかったら金を用意しろ」と脅迫。高橋さんは、翌2日の午前8時になって犯人の指示通りに自宅に電話して妻に金を用意するように連絡した。

驚いた妻は、警察に通報すれば夫は殺されると判断し身代金2000万円を用意した。さらに知人の男性2人に、犯人が指示してきた栃木県宇都宮市内のファミリーレストラン駐車場に身代金を運んでもらうよう依頼した。そこで知人の男性は高橋さんの車のトランクに現金2000万円を入れて出発した。

3日午前9時、駐車場に着いた知人の男性は犯人の指示通りに車内に車のキーを置いて1時間その場を離れた。1時間後に戻ると、車内に目隠しされ紐で拘束された高橋さんを発見し無事保護した。

保護された高橋さんは、4日午後9時になって市原署に事件の顛末を通報するとともに被害届けをだした。千葉県警と市原署は営利目的の誘拐事件として捜査を開始した。まず、高橋さんの証言から監禁されていた栃木県那須塩原の貸し別荘の現場検証と聞き込み捜査を行ったところ、5月1日に現場付近で不審な車が駐車していたことを突き止めた。

さらに、貸し別荘の申し込みをした中年男が高橋さんの顔見知りで元塗装業の迫康裕(当時50歳)であることが判明したため、全国に指名手配をした。その結果、同月14日に高岡市のホテルに潜伏していた迫を逮捕した。

−類似事件−
千葉県警は、本事件と類似した未解決事件に注目した。2年前の平成元年7月に福島県郡山市で塗装業社長の真壁研一さん(当時48歳)が誘拐され、身代金の引渡し場所をファミリーレストランの駐車場を指定してきた事件である。

そこで、捜査本部は迫を厳しく追及した。その結果、6月13日になって迫は「暴力団関係者5、6人で真壁さんを誘拐し殺害した」と自供した。捜査本部は、自供をもとに埋めたとされる那須塩原の貸し別荘地の山林を捜索し白骨化した真壁さんの遺体を発見した。さらに迫は、昭和61年7月に岩手県盛岡市の金融業社長(当時41歳)も誘拐後に殺害したことを自供した。

6月15日、捜査本部は真壁さんに対する営利誘拐と殺人の容疑で岩手県の土建業者の熊谷昭孝(当時48歳)、熊谷光輝(当時39歳)、菅原勝治郎(当時37歳)を逮捕した。また元岩手県警の警察官で飲食業の岡崎茂男(当時37歳)を同日指名手配した(10月31日に逮捕)。警視庁は同月17日に一連の事件を「広域指定118号」に指定した。

−死刑確定−
公判は、事件の主犯格は迫、岡崎、熊谷昭孝の3人であると認定。3人は「殺人に関して積極的に加わっていない」と主張したが、平成7年1月27日福島地裁は3人に死刑を言い渡した。3人はいずれも控訴したが棄却。平成16年6月25日に最高裁は3人の上告を棄却して死刑が確定した。


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