中学生マット圧死事件


−経緯−

平成5年1月13日の夜、山形県新庄市立明倫中学校の1年生、児玉有平君(当時13歳)が、体育館の用具室に巻いて縦に置かれていたマットに逆さ釣りした格好で圧死しているのが発見された。18日、警察は体育館で児玉君をマットに巻いて虐めたとして、傷害致死容疑で2年生(当時14歳)の3人を逮捕。1〜2年生(当時12歳〜13歳)の4人を補導した。この7人は警察の取り調べで当初、犯行を認め事件は決着したかに見えた。が、その後、事件は思わぬ方向へ迷走していく。

事件から数日後、最初から犯行を認めた1人は児童相談所へ送致されたが、残る6人は犯行自供を一転、犯行の否認やアリバイを主張しだした。

山形家庭裁判所は逮捕した3人に「非行(犯行)を立証する十分な証拠は無い」として刑事事件の無罪にあたる不処分の決定をした。補導した4人(1人は在宅指導処分)は、3人が「共謀して本件非行を犯した」として有罪にあたる保護処分の決定を言い渡して2人に初等少年院、1人が救護院送致を決定した。

この異なる決定は、裁判所が警察捜査で逮捕した3人の取り調べに信用性を欠いたと判断したもの。逆に補導した4人は、在宅指導処分の少年が、補導した3人の事件の関連を供述した証言に基づき有罪の判定をした結果であった。

この決定に保護処分の3人は「事実誤認がある」として抗告したが仙台高裁は平成11年11月29日に抗告棄却。今度は、不処分確定の(事件当時、逮捕された3人)3人の事件関与を指摘する判断を示した。

最高裁も再抗告を棄却して3人の保護処分が確定した。が、不処分確定の3人に関しては言及が無かった。現在の少年審判は家裁の無罪決定は覆せない仕組みになっており、不処分確定の3人には少年院措置は無かった。

平成7年12月、有平君の両親が逮捕・補導された元生徒7人と新庄市に対して総額1億9300万円の損害賠償を求める民事訴訟を提訴した。これに対して平成14年3月19日、山形地裁の一審判決は「有平君の遺体鑑定結果からは暴行があったか判断できず、遺体発見時の状況や物証など間違いなく信用できる証拠からだけでは事件性すら疑わしい」と7人全員の関与を否定した。

地裁判決から2年後の平成16年5月28日、仙台高裁は一審判決を一部取り消し、元生徒7人の関与を認定し賠償金5760万円の支払いを命じた。新庄市に対する請求は棄却した。このように、真実は一つであるのに刑事、民事共に判決が一転二転するありさまで少年法の矛盾が露見した格好となった。

−謝罪なし−
この事件は、地元の《逆らわず穏便に》という雰囲気が圧倒的に支配した。昔から近隣関係にある地域住民は「不穏な関係になりたくない」という思いがあり、加害者側への同情と被害者側への反発が強くでた事件だった。

事件当時、体育館での目撃者(学生)が次第に証言を覆したり、中学校側も黙視したり、地域住民も同様の状況があったという。被害者である有平君の両親は、「誰一人も謝罪しに来た人はありません」と語った。

−その後−
平成17年9月7日、最高裁は元生徒側の上告を棄却し、少年審判で不処分が確定していた3人を含む7人全員の関与を認め、合計約5760万円の支払いを命じた。これで一連の訴訟は終結した。


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