刑務所資料

刑務所の実態を客観的に示す。その実態が既決囚に対する人権問題として捉えるべきか、被害者の立場から見て当然の報いであるか、その判断は皆様にお任せする。尚、刑務所に入った経験は無いので実態といっても下記の文献を参考にした。
参考文献:日本の監獄史(重松一義/雄山閣出版)、日本刑罰史年表(重松一義/雄山閣出版)、日本の刑務所(菊田幸一/岩波新書)、知られざる刑務所のオキテ(安土茂/日本文芸社)

刑務所MAP
作成:平成17年4月現在
裁判で確定した既決囚は、性別・刑期・傾向・適正などを勘案して収監先の刑務所を決定する。法務省矯正局を頂点として全国刑務所に共通通達するが、実際の扱いは刑務所ごとに異なる。例えば、仙台矯正管区から札幌矯正管区しか暖房が無いとか(房にあるのではなく廊下に暖房があるだけ)、食事の良し悪しにも差がある。
刑務所

刑務所の日常生活
作成:平成17年4月現在
一般的な懲役受刑者を示す。よって、禁固刑や女性囚や未成年はこの限りでは無い。
拘置所に収監されている未決囚が裁判で刑が確定すると当該刑務所に押送され入所する。刑務所では入所したばかりの既決囚を4級として成績により1級までの階級分けをする。この階級によって既決囚の待遇が天と地ほどに異なる。尚、1級は事実上刑期8年以上或いは無期懲役刑の既決囚しかなれず、殆どは2級までの間に出所する。
食事 懲役刑における労務形態によりA食、B食、C食に分けられる。工場勤務で立位作業には最も高い2620カロリーであるが、一般成人が必要とする最低限のカロリーである。主食は白米7割、麦3割の比率である。
(朝食)
味噌汁(具は殆ど無し)、お新香、佃煮
(昼食)
ハム、キャベツ、ニンジンのごった煮
(夜食)
薄い豚肉と三品程度のおかず。サンマがでれば、ご馳走(めったに無い)

*菊田幸一氏が元受刑者にインタビューした平均的なメニュー
衣類 官支給の衣料。1、2級は比較的新しい衣服が支給。4級はボロボロの使いまわし。冬は毛糸のチョッキのみ。
日用品 −官支給品−
(ティッシュ)
300枚/1ヶ月
(歯ブラシ)
1本/3ヶ月 
(歯磨き)
1個/2ヶ月
(石鹸)
1個/1ヶ月
(タオル)
1枚/4ヶ月
(箸)
1膳

*実際に歯ブラシは1ヶ月でボロボロになる安価な物。よって、受刑者は自弁(自費)で許可申請し購入する。
入浴 6月〜9月は5日間に1回
10月〜5月は7日間に1回

*刑務官の号令・合図で入浴動作が決められている。浴槽に入る前に刑務官の合図で右手で洗面器に湯を一杯汲み体にかけ湯する。2杯かけたり号令に遅れたりすると懲罰の対象となり2000円の罰金や10日間の懲罰刑になる。入浴時間は脱衣から入浴、着替えまで15分程度。体を洗うのに3分も無い。
運動 土曜、日曜、祭日、年末年始、雨季、冬期を除き30分以内。実際には年平均60回程度しか運動は出来ない。
通信 手紙の受発信は検閲を受ける。問題がある場合、発信・受信不許可か黒く塗りつぶされるか削除される。
4級−1回/月
3級−2回/月
2級−1回/週
1級−随時
面会 受刑者が入所時に親族などを申告書に記載した者に限り土曜、日曜、祭日、年末年始を除く8時30分から午後3時30分までの30分以内の面会が可能(実際は10分程度)。ただし、等級により面会回数が決められている。
4級−1回/月
3級−2回/月
2級−1回/週
1級−随時
刑務作業 1.懲役刑囚は強制労働が義務付けられている。刑務作業は40時間/週で刑務所側が懲役囚の適正を判断し工場勤務(印刷、木工作業、部品加工など)や自営作業(刑務所施設の改修や経理作業など)などに振り分ける。

2.刑務作業には作業賞与金が支給されるが入所したばかりの見習い工が9等工で最高ランクが1等工。9等工から1等工になるまで最短で3年間を要する。

3.作業中、私語やよそ見、汗を拭く動作まで懲罰の対象となる。刑務官の顔を見ただけで懲罰対象として軽屏禁(後述)送りになる場合がある。

4.一時間当りの賞与金は1等工が34円60銭、9等工は4円90銭である。よって9等工は20日間労働して784円しかならない。
尚、この賞与金は出所する際に受け取るが、この時までにならないと実際の額面は判らない。

5.また、この賞与金で自弁(自費)として必要な物を許可申請して購入できるが(鉛筆とかノート、切手など)、4級は賞与金の5分の1、3級で4分の1までしか使えない。よって、4級は入所1ヵ月後に自弁可能なのは156円でしかない。切手と鉛筆1本購入したら後は何も購入できない。
懲罰 刑務所では全ての動作が厳しく規定されている。起床から就寝まで(実際に、寝ている間も規定がある。例えばどんなに寒くても布団を頭まで上げて寝てはいけないなど)、刑務官の指示・号令通りに行わなければならない。

独居房/雑居房から工場に向かう時など一列に「オイチニイ、オイチニイ」と声をかけて足は交互に高く、腕は乳の高さまで上げて行進する。手や足の位置など不具合があった場合、懲罰の対象となる。減点が加算されると受刑者は懲罰を受ける。

−懲罰−
1.文書・図画閲読禁止3ヶ月間以内の禁止
2.作業賞与の減削
3.賞与の廃止(階級、進級降下)
4.軽屏禁
その他、叱責、5日以内の運動禁止などがある。


−保護房−
懲罰の対象となった者は、一旦保護房に収容される。最長7日間であるが3日ごとに更新できる。収容者は革手錠で右腕は腹の前、左腕は背中側に固定され、就寝以外は正座かアグラ座で姿勢を正す。

保護房は3畳と6畳の2種類があるが、いずれも窓は無く、床はリノリュウムのままで寝具は無い。トイレは床に埋め込まれていて午前中1回と午後1回の1日2回の使用以外は認められない。革手錠をはめたままなので拭くこともできない。食事も革手錠したままなので「犬のように」食べる。看守から24時間監視されている。


−軽屏禁−

懲罰の中で軽屏禁は多いようだ。以前は軽屏禁に対して重屏禁(暗室)もあったが人権問題から現在では無くなった。
軽屏禁は、就寝以外は一日中正座。手は膝の上にのせ、顔は入り口に向け目を開けて真っ直ぐ座る。少しでも体勢を崩すと懲罰更新の対象となる。

軽屏禁中は運動、入浴、面会、手紙の受発信その他全てが禁止される。24時間蛍光灯が点灯し寝具も無い状況で最長60日間。



-元受刑者の刑務所内での実体験レポート-

これは、「事件史探求」を訪問された元受刑者の方から本資料に掲載されている内容は現在の刑務所における実体とはやや異なっているとのご指摘がありました。確かに、いささか古い資料を基に内容を掲載している点でその通りだと思います。

そこで、仮にAさんとしておきます。このAさんの刑務所内での日常生活に関してご連絡頂いた内容をアップいたします。尚、Aさんの文面から察するに、現在は真面目に更生され社会の一員として頑張っている様子でした。


入所中につけていた日記と雑記ノートを引っ張り出して当時の事を思い出しながら補足を付け加えさせていただきます。
 
通信、面会は貴ホームページに書かれている内容の通りです。
刑務作業もほぼその内容の通りです。加えるなら問題のある(作業意欲が無い、事故が多いなど)囚人は紙袋折りなどを行う通称「もた工(もたもたしてる工場)」と呼ばれる工場へトバされます。左遷です。

級の累進は5か月毎、無事故なのはもちろん生活・作業態度などの担当刑務官の査定によって累進します。
無事故褒章の累進は6か月毎。
ちなみに刑務所でいう「事故」とは作業中の怪我の他、同囚との口論・ケンカ、刑務官への抗弁、規則違反(眉毛を剃る、工場の備品を持ち出す、など)を含んだものです。

日用品購入と書籍購入願箋は週1回、私本購入は1回6冊以内。
一般・領置(舎房内に入れておける私物は数量制限があるので官に預かってもらう)・下付(領置してある物をおろす)・(私物)廃棄の各願箋は週2回。
願箋類の様式は各刑務所によって違うようです。札幌と釧路でも違いました。

房内に持ち込める私本は3冊まで、単行本・月刊誌は1か月、週刊誌は1週間を越えて房内に置いておけず領置もしくは廃棄しなければならない。領置された本は3か月間再下付不可。
6冊購入した場合、どの本を入れるか配布時に選びます。
私本で人気なのはグラビア本(男ですから・・・)、パズル・クイズ本(暇つぶしに最適)、旅行・グルメ本(やっぱりシャバが懐かしい)。
あまりマイナーな本や専門過ぎる本は買えません。街の小さな本屋さんで購入できる程度の品揃えです。
エロ度はヘアヌードグラビアぐらいならOK、修正も入りません。しかしどこからどう見ても完全なエロ本というレベルはアウトです。「快楽天」買ったら呼び出されて「気持ちは判るが出所まで辛抱してくれ」と諭されました。

自慰行為は禁止されていません。刑務官から聞いたところでは昔は禁止されていたけど、人間として当たり前の欲求を禁止するのはかえって不健康で不必要な問題や犯罪の原因になりかねないということで禁止事項から削除されたそうです。

舎房でテレビを視聴できるのは雑居房は毎日19:00〜20:55、独居房は週2回のみで時間は同じ。チャンネルは自由です。
大晦日のみ深夜0:30まで試聴可能(消灯時間も0:30)。紅白歌合戦やゆく年くる年への配慮だと思いますが私の房ではカウントダウンTV観てました。

女子刑務所は男子刑務所より規則が緩く、しかも仮出所が早いです。
男性の場合、どんな模範囚でも刑期2/3を経過しなければ仮出所対象になりませんが、女性はなぜか1/2で対象になります。
しかし女性の場合、生理的に男性よりいろいろ大変なのかもしれません。

酒とたばこはもちろん禁止ですが、人間、案外気にならなくなっちゃうもので1週間もすると平気になります。
刑務所はどんな辛党や大酒飲みも甘党になる、と言われるほど甘いものに飢えます。
娯楽集会や祝祭日に配布される菓子やジュースが御馳走に見えます。
集会で上映される映画は刑務官が個人的に選んでいるそうです。
犯罪映画やヤクザ映画も平気でやっちゃいます。
映画の他には小金沢昇司さんや大西ゆかりさんのショーとか、落語(噺家さんの名前は失念しました)など様々です。

行動時間を記します。これはだいたいどこの刑務所も似たようなものだと思います。

作業日
6:40 起床
6:50 朝点呼(起床からここまでの10分で布団を正確かつキレイにたたみ、房内清掃)
6:55 朝食
7:20 出房(この際に担当刑務官に報告事項があれば報告)
7:40 始業
9:35 休憩(お茶出ます。担当刑務官によってはテレビ点けます)
9:50 作業再開
11:50 昼食(テレビ見れます。チャンネルは担当刑務官の趣味)
12:30 作業再開
14:20 休憩(お茶出ます。担当刑務官によってはテレビ点けます)
14:35 作業再開
16:20 終業(入浴日は早く終わって入浴になります)
16:30 帰房
16:40 夕点呼(願箋配布日はこの時に願箋配布)
16:50 夕食
21:00 消灯・就寝
※運動時間は各工場別に時間が割り当てられるので不定

免業日
7:30 起床
7:40 朝点呼
7:50 朝食
11:50 昼食
16:20 夕食
16:40 夕点呼
21:00 消灯・就寝

ちなみに作業日よりも免業日の方が辛いです。自由が無く、しかし時間だけあるというのは精神的にものすごくキツイ。

刑務所内で可能なこと。
・運転免許更新(住民票取り寄せが可能な場合に限る)
・眼鏡注文
・通信教育
 ※以上は実費なので領置金が必要額あることが条件
・職業訓練による資格取得(内容は刑務所ごとに異なる。他刑務所からの募集もある)
・クラブ(絵はがき、俳句など)
・教育活動(牧師やお坊さんによる説法・宗教集会)

囚人間では知能犯や特殊な技術を要する犯罪を犯した人はなぜか一目置かれます。
逆に女性に対する暴力・暴行、性犯罪者は表立ったイジメこそありませんが軽蔑されて相手にされません。これ本当。
また「ヤクザのエライ人と友達」などという台詞を言っても「だから何?」と鼻で笑われてこれも相手にされません。

規則では出所3か月前から頭髪を伸ばせますが、実際には仮出所がわかるのは最短で1か月前なので1か月前から頭髪を伸ばし始めます。
出所2週間前から「出所前処遇」となり、同じ処遇となった同囚各自の独居房と広間でできている特別な舎房へ移ります。
作業は無し。
各独居房は施錠が無く、広間への出入りも自由。
テレビ視聴時間は雑居房と同じですがビデオデッキがあり、ビデオ視聴は自由。
入浴は毎日。1人用風呂に交代で呼ばれ、時間は30分。
起床・消灯時間は同じ。
本棚に大量の漫画単行本がある。
点呼と巡回はあるが刑務官の態度はまるで今までと違う。
食事は完全な白米。

出所日はその日の0:00をもって囚人ではなく一般人になるので刑務官の言葉も敬語に変わります。
出所すると私の場合、釧路刑務所で帰る先が札幌なので駅まで刑務官に送られました。そこまで送って列車に乗った事を確認するまでが彼らの仕事だそうです。
ちなみに列車の乗車賃は刑務所もちです。交通費は全額刑務所負担と半額負担の2パターンがあるらしいですが、その辺の基準はよくわかりません。
私が出所して最初にやった事は駅の売店でたばこを買って吸った事。

いくら「昔よりはヌルい」と言っても刑務所は刑務所、自由のない生活は辛いものに違いはありません。
普通の生活をしていれば無縁のものかもしれません。しかし私が入所中には「なんでこんな真面目な人がこんなトコに入れられてるの?」という人もいました。
たった一度の過ち、魔がさした、訳が解らないうちに巻き込まれて共犯の立場になってた、そんな人もいました。人生、何があるのかわかりません。
「刑務所ってこんな場所だよ」という私の経験を貴ホームページの参考として役に立てていただければ幸いです。
それでは失礼させていただきます。  

       


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