足利銀行・2億円詐欺事件


−経緯−

昭和50年7月20日、足利銀行栃木支店の貸付係・大竹章子(当時23歳)が架空の預金証書を使って2億1000万円を引き出していたことが発覚、栃木署は大谷を詐欺および横領容疑で逮捕した。また、横領していた金を貢いでいた相手の石村こと阿部誠行(当時25歳)を同容疑で全国指名手配した。

大竹は2年前の昭和48年夏、友人と東北旅行した際、車中で「国際秘密警察員・石村」と名乗る阿部と知り合った。大竹は《世界中を駆け回り国家のために活動している》阿部に興味と憧れを抱いた。これを見抜いた阿部は、大竹に結婚話で近づき「国際秘密警察を抜けるため」借金を要求した。

これに対して大竹は自分の預金や家族から借金した金を阿部に渡した。味をしめた阿部は益々要求金額をエスカレートさせていった。思い悩んだ大竹は、銀行の金に手をつけるようになった。その手口は幼稚で、融資調査役の検印を隙を見て白地の手形・伝票(複写分含む)に捺して自宅に持ち帰り、自ら金額・定期預金名を書き込み、職場が忙しい時を狙って現金化するというものであった。

大竹は定期預金を担保に貸付する部門を担当。4年間の在職中、勤務態度も良好で真面目な大竹は上司や同僚からの信頼も厚く、このことが犯行の発覚の遅れとなった。一方、阿部は大竹から貢がせた2億1000万円で競馬情報会社やクラブを経営し愛人と派手な生活をおくっていた。

−発覚−
横領が発覚したのは、「本店の抜打ち審査」であった。本店の監査人が栃木支店の帳簿を監査したところ次々と不審な担保貸付けの伝票が出てきた。そこで、貸付係の責任者や大竹をはじめ関係者に事情を確認した結果、大竹の犯行が発覚し警察に届け出た。

これを知った阿部は愛人と逃亡した。が、警察は9月17日に金沢で阿部の愛人を逮捕。翌18日、東京・五反田で阿部を逮捕した。大竹は、阿部に関して本名・住所・職業など一切知らなかった。捜査段階で東京・世田谷に住居する自称・会社社長の阿部であることを初めて知るという始末だった。裁判では、阿部に詐欺・有価証券偽造・同行使罪で懲役8年。大竹には懲役3年6ヶ月の実刑が確定した。


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