名古屋・中学生5千万円恐喝事件


−経緯−
平成12年4月5日、愛知県警はA少年(当時15歳)とB少年(当時15歳)ら3人を恐喝容疑で逮捕した。AとBは1週間前に名古屋市緑区の中学校を卒業したばかり。在校当時、同級生の稲垣富雄君(仮名、当時15歳)に総額5000万円を恐喝していた。

発端は平成11年6月頃、富雄君は同級生のAから「金をよこせ」と恐喝された。怖くなった富雄君は自分の預金19万円を引き出してAに渡した。これに味をしめたAとBらは平成12年1月までの8ヶ月間で70回から80回にわたって富雄君から金を脅し取っていた。脅し取った金は全て遊行費にあてたが、パソコン、高価な家電や彼女に高級プランド品を買え与えたりしていた。中学校付近のタクシー仲間ではA、Bを知らない者は居ないほどタクシーを乗り回し連日パチンコ屋に行ったりカラオケ店に乗り付けていた。

一方、富雄君はAらにパチンコの開店前に並ばせられたり、嫌がる富雄君を無理やりスキー旅行に連れて行き「荷物を持たせたり」していた。また、パチンコでうまくいかないと携帯で富雄君を呼び出し腹いせに殴る蹴るの暴行を働いた。

脅し取る金額も次第にエスカレート。平成12年に入ると1回で100万円単位で要求するようになった。この脅し取られた金は総額で5000万円にのぼる。その金は3年前に事故死した富雄君の父親の保険金だったが、それでも足りず富雄君の母親は借金までして用立てていた。富雄君の母親は恐喝をされていることを察知していたが、どうすることもできず都度現金を渡していたという。

−二重恐喝−
AやBらが出入りしていた暴力団事務所の別の少年達が、最近のAらの羽振りの良さに不審を抱いた。Aらを問い詰めたところ、富雄君を恐喝していることを知り、Aらは逆に脅されて更に富雄君から恐喝して巻き上げた金を少年達に渡すという二重恐喝も加わり、最終的に14人が恐喝で逮捕された。

−正義と勇気−
富雄君は平成12年2月に無理やり連れて行かれたスキー旅行で殴る蹴るの暴行を受けて、肋骨を折る怪我をした。名古屋市の病院に入院した富雄君を見た同室の男性(当時31歳)が「暴行=いじめ」を受けていると直感した。そのことを聞いても富雄君は何も話さなかった。その直後、Aらは病室まで入り込んできた。病院の屋上に富雄君を呼びだしたAらは、また金を脅し取ろうとした。が、不審を抱いた男性が屋上まで尾行し、状況を把握してAらを一喝して追い返した。

その後、病室仲間で富雄君と話し合った。この時、この男性は「君が勇気を出して警察を動かすのと、周りが騒いで警察を動かすのと、将来大きな差になる。勇気を出して戦うんだ」と説得。これを受けて富雄君は心を開き全てを告白した。男性は、富雄君と母親に警察へ被害届けを出すことを勧めて、警察は4月5日にAら3人を逮捕し最終的に14人の逮捕に至った。逮捕後、Aらの事情聴取で「反省の供述は一切無かった」という。

−警察の不手際−
実は富雄君は前年の6月に緑署に被害届けを出していた。が、警察は送検せずに放置していたことが判明。また、学校も毎日のようにタクシーで乗り付けて登校してくるAらに事情を確認することは無く、警察・学校共に無関心だったことが、被害をここまで大きくしてしまった。Aらは、このままでは犯行がバレると思い、富雄君の殺害まで計画していたという。結局、事件解決の糸口を見出したのは、他人でありながら心優しい男性であった。


ホーム

inserted by FC2 system