佐賀・長崎連続保険金殺人事件


−経緯−
平成10年10月27日午前0時頃、「次男の姿が見えなくなった」と看護助手で母親の山口礼子(当時40歳)から110番通報があった。警察は、長崎県小長井町の港に駆けつけ周辺の捜索を始めた。その結果、午前3時頃、漁港内の岸壁で佐賀県鹿島市の高校1年生の次男(当時16歳)の遺体を発見した。

警察は、母親の山口に事情聴取したところ、「次男や妹と一緒にイカ釣りに来たが、気がつくと次男の帽子が海面に浮かんでいたので110番通報した」と言うことだった。が、この時期にイカ釣りは不自然であること、次男は水泳が得意であること、外傷が無いことなどから不審を抱いた警察は次男の遺体を司法解剖した。

司法解剖の結果、次男の胃から睡眠薬が検出された。そこで、警察は山口を軸とした周辺捜査を実施。その結果、次男には3500万円の保険金が掛けられていることが発覚。さらに、山口の夫で次男の父親であるAさん(当時38歳)も平成4年9月に水死していたことが判明した。このAさんにも多額の保険金が掛けられており、保険金の受け取りも山口、第一発見者も山口であったことが明らかになった。

平成11年8月30日、長崎県警捜査1課は山口と愛人で共犯の古美術商・外尾計夫(当時51歳)の2人を殺人容疑で逮捕した。山口は以前、保険外交員をしていた経験から保険知識が豊富であること、また犯行当時は看護助手をしていたことで病院から睡眠薬が簡単に入手できる立場にあったことなどが決め手となった。

−残忍な母親−
山口と外尾は逮捕後の取り調べで犯行を認めた。これによると、山口の夫であるAさんは家庭を顧みず交遊関係で派手な生活をしていた。一方、Aさんに不満を抱いていた山口は外尾と知り合い、深い関係になった。その頃、外尾は事業やギャンブルで多額の負債を抱えており、保険金目的でAさんの殺害を持ち出した。

そこで、山口は病院から入手した睡眠薬をカレーに混入しAさんに食べさした。深い眠りに入ったAさんを山口、外尾が車で海岸へ運び、外尾がAさんを海に投げ込んだ。結局、Aさんは誤って海中に落ちたということで9000万円の保険金を山口は受け取った。

9000万円の保険金の殆どは山口から外尾に渡っており、外尾は事業の借金返済やギャンブル、派手な遊行費で使い果たしてしまった。そこで、外尾は山口の子供達に保険金を掛けて同様に殺害を山口に要請した。山口は、それまでにも相続した田畑の売却金5000万円、消費者金融で1000万円の借金をしてまで外尾に貢いでいた。が、外尾は全てギャンブルで使い果たしていた。

さすがに、自分の子供を殺害することには難色を示していたが、外尾の脅迫に近い指示で次男を殺害したのだった。犯行当日は、次男に睡眠薬を飲ませた後、外尾が海に投げ入れた。ところが、次男は泳いで岸壁にたどり着いた。この時、山口は次男の頭を押さえつけて「水中でもがくのを押さえつけた」という。

山口は次男のほか、長男(当時19歳)に4000万円、長女(当時10歳)にも2500万円の保険金を掛けていた。その後の警察の調べで、長女に何回か睡眠薬を飲ませるなど、殺害を計画していたことが判明した。

平成16年5月21日、福岡高裁は一審の長崎地裁で死刑判決を受けた山口と外尾に対して、山口に一審判決を破棄して無期懲役。外尾に対しては情状酌量の余地無しとして一審判決を支持して死刑を言い渡した。尚、山口は二審の無期懲役を不服として上告した。平成20年1月31日、最高裁は外尾の上告を棄却して死刑が確定。山口は無期懲役で確定した。


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