和歌山・メル友殺人事件


−経緯−
平成14年7月15日早朝、京都府警は安藝健太郎(当時32歳)を13日夜、和歌山で発生した自動車部品販売店・店長の殺人未遂容疑で逮捕した。安藝は金強奪のため店長にナイフを突き刺し逃走。京都まで逃走し路肩で仮眠中、京都府警に職務質問され犯行が発覚した。と同時に共犯の原田亜矢子(当時24歳)も逮捕した。さらにM子さん殺害事件の容疑で9月6日再逮捕された。

安藝と原田は平成13年8月頃、携帯電話の出会い系サイトで知り合った。安藝は自動車会社の整備士として勤務。離婚したばかりであった。一方、原田も前年の平成12年に離婚したばかりで二人の子供を実家に預けてブラブラしていた。

付き合い始めて数ヵ月後、原田は安藝が自分に対して熱を入れあげているのを利用しようとした。ここから、幼稚で信じられない狂言を繰り返し、安藝に貢がせることを企てていく。原田は「自分は山口組五代目組長の娘である」と安藝に信じ込ませて、「組長(父親)に結婚を認めてもらうには組への登録料が必要」と金を出させて、後日「やっぱりヤクザは嫌だから脱会するために金が必要」と合計85万円を安藝から騙し取った。

安藝は方々から借金を重ねて自動車会社も解雇される。金の無い安藝に原田は冷たく、別れ話を切り出す。このため、安藝は窃盗を繰り返していく。

安藝は新たに自動車部品販売会社に就職する。この時、原田は「毎月20万円を払えば、組長(父親)は結婚を許してくれる」、「交通事故を起こした」、「組員の香典が必要になった」など数々の嘘を重ねて安藝から毎月数十万円を騙し取る。安藝はついには闇金にまで手を出す状況に陥っていた。

−新たな男−
その頃、原田は携帯サイトで大阪府の会社員・Kさんと知り合う。原田にとってKさんは本命であった。原田はKさんに「自分は国際モデルで、2000万円の預金もある」などと甘い言葉をかけた。デートの費用は全て安藝から貢がせた。

さらに原田は安藝に「Kさんと結婚することを組長(父親)から言われた。20万円を毎月払わないと、Kと結婚するしかない」と煽り、更なる金を貢がせた。

原田は安藝が貢いだ金でKさんとKさんの姉でM子さん3人で食事やカラオケなどで交遊するようになった。その頃、原田はKさんと結婚しても心臓に疾病があるM子さんの面倒を見るのは嫌だ。いっそ、殺害してM子さんの金も強奪しようと考えるようになる。

−声色の架空人物−
原田は自分の気持ちを直接相手に伝えることができない性格で、第三者になりすまして自分の気持ちを伝えるという癖があった。安藝に対しては「女言葉を使うオカマ・ヤクザ(おねい)」という架空人物をつくりあげ安藝に自分の要求を伝えていた。

Kさんには「ヤクザっぽいが気は優しい(小鉄)」という架空人物で、携帯電話で「M子(Kさんの姉)を大事にしろよ」などと声色を使って話していた。信じられないことに、この小鉄に恋をしてしまったのがM子さんだった。

−犯行−
平成14年7月7日、原田はKさん、M子さんに小鉄を紹介すると誘った。安藝には小鉄になりすまし、M子を殺害して金を強奪することを指示した。午前2時、約束した和歌山県の某寺の駐車場で待ち合わせた4人は、Kさんの車に原田が乗り込み、安藝(小鉄)の車にM子さんが乗り込んで別々のドライブをすることで別れた。

安藝は原田に指示された通り、M子さんの首を絞めて高野山の山中で死体を焼いた。この時奪った金は僅かに3万5000円。安藝はガソリン代を引いた3万円を原田に渡している。

M子を殺害しても3万円しか得られなかったことに憤慨した原田は安藝に金を強奪するよう指示する。そこで、前述の7月13日、以前勤務していた自動車部品販売店に押入り店長をナイフで刺したのだった(店長は重傷であったが一命は取り留めた)。

平成14年12月13日、和歌山地裁で初公判。現在審理中。安藝は「僕は生きていていいのでしょうか」と弁護士に手紙を書いたという。少なくとも安藝だけは、テレビドラマも取り上げない馬鹿げたストーリから現実に戻ってきたようである。


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