厚生省・汚職事件(彩福祉グループ贈収賄事件)


−経緯−
平成8年11月18日、警視庁と埼玉県警は厚生省課長補佐の茶谷滋と社会福祉法人「彩福祉」グループ代表の小山博史を贈収賄の容疑で逮捕した。更に翌19日、小山代表から6000万円を受け取っていた疑惑で厚生省事務次官・岡光序治が辞任。12月4日に収賄容疑で逮捕された。この3人は福祉を食い物にして「私腹を肥やす」という典型的な官僚−民間の汚職事件を引き起こした。

小山は昭和55年頃、玉置和郎参議院秘書を経て福祉を目的とした「彩福祉」グループを設立した。一方、厚生省の岡光は平成元年6月に厚生省の老人保健福祉部長に就任。このポストは社会福祉法人を認可する都道府県知事の監督、特別養護老人ホームへの補助金許認可を担当するもので、 ここに岡光と小山の利害関係が一致した。更に岡光は厚生省から埼玉県に出向していた高齢者福祉課長の茶谷滋を小山に紹介し3者一体の汚職が開始された。

平成5年8月、小山が申請した社会福祉法人「桃泉園」が茶谷らの便宜で認可された。この認可を端緒に社会福祉法人「彩吹会」・「彩光会」、特別養護老人ホーム「吹上苑」など次々に法人を設立。小山は埼玉県内に6つの特別養護老人ホームを建設するという異常ぶりだった。また彩光会の理事に岡光の妻が就任していた事実も判明した。この許認可に便宜を図ってもらうため小山は茶谷の埼玉県出向を1年間延長する要請を岡光にしていた。

小山は、この特別養護老人ホームの建設にあたってJWMという建設会社を設立。県からの建設認可でJWMを通して大手ゼネコンに請負させて利ざやを稼いでいた。日本は高齢者社会に変遷していくなかで「高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略(ゴールドプラン)」を制定したが、岡光、小山、茶谷らは、この政策(補助金)につけこんで私腹を肥やしていた。

岡光は「要求型汚職」の典型で小山に数々の便宜の見返りとして、自動車・ゴルフ会員権・自宅マンションの購入資金など約6000万円を受け取っていた。茶谷も同様に1020万円を受け取っていた。

−逮捕−
平成8年10月、茶谷は衆議院選挙で埼玉6区から出馬したが次点で落選した。この落選を待っていたかのように警視庁、埼玉県警は11月18日、収賄容疑で茶谷を逮捕、小山を贈賄容疑で逮捕した。12月になると厚生省最高トップの岡光次官を収賄容疑で逮捕した。さらに厚生省の幹部職員16人が小山から接待を受けていたとして処分を受けた(当時、小泉厚生大臣)。

平成10年6月24日、東京地裁は岡光元厚生省事務次官に懲役2年、追徴金6369万円の実刑判決。岡光は判決を不服として東京高裁に控訴。茶谷は懲役1年6ヶ月、執行猶予4年、追徴金1122万円の判決。小山は懲役1年6ヶ月、追徴金600万円の実刑判決。小山は判決を不服として控訴した(いずれも平成10年6月24日現在)。

平成10年1月に発覚した「大蔵省・日銀接待事件」と同様、官僚が国民ではなく自身の私腹を肥やす事のみに目が向いていた事件であった。


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