福岡・雑貨商一家6人殺人事件


−経緯−
昭和21年4月13日夜、福岡県中間町(現・中間市)の日炭高松一坑の炭鉱町で雑貨商を営む徳永但さん(当時40歳)と妻(当時33歳)、長女(当時11歳)、次女(当時8歳)、三女(当時4歳)、長男(当時2歳)の一家6人がツルハシで滅多打ちされ殺された。

16日午後、炭鉱の社員寮に住む女性が街はずれの徳永宅を訪ねたところ応答が無かった。不審を抱いた女性が部屋を覗くと雨戸が閉まって薄暗い8畳間に一家6人が血まみれで死亡しているのを発見した。連絡を受けて現場に急行した警察は捜査を開始。その結果、衣類が若干と現金2〜300円が無くなっていることが判明した。

被害者の徳永さんは元日炭独身寮の鬼寮長として悪名を轟かし数々の問題から寮長を解雇され雑貨商を営んでいた。このため怨恨による犯行とみて捜査を開始した。

が、事件は意外にも早期解決する。犯行翌日に徳永さん宅から盗まれていた衣類が、被害者宅から数百メートルの場所にある質屋に持ち込んでいた男がいたことが判明。入質に来たのは顔馴染の日炭独身寮に住む大阪出身の辻隆二(当時21歳)だった。捜査本部は即日、殺人容疑で辻を逮捕した。

−動機−
辻は、天涯孤独でバック一つに母親の遺骨を持って全国各地の炭鉱を渡り歩いていた。博打好きで、徳永さんとは博打場で知り合った。犯行の前日も徳永さんと二人でサイコロ博打をしていたが、辻の大負けで一張羅の「払い下げ軍服」をカタに100円を借りて勝負を続けた。

翌日、博打に大負けした辻は返済のメドは無く途方に暮れた。返済期限はこの日の夕方である。大事な軍服が気になって仕事にもならない。そこで、入坑前に徳永宅へ訪問し返済期限を延ばしてもらう交渉をした。ところが、徳永さんは「期限が切れたからもう売った」と素っ気ない返答だった。

辻は力が抜けた。一旦は「自分が悪いのだから」と言い聞かせたが、《あれほど売らないでと頼んだのに・・・》と思うと徐々に怒りが込み上げてきた。そこで、辻はツルハシを持って金を巻き上げるつもりで徳永宅に押し入った。徳永宅では、家族全員が就寝していた。

ところが、軍服は徳永さんの枕もとに置いてあった。辻は「この野郎、騙し取るつもりだったのか」とツルハシで徳永さんの頭を突き刺し、その後家族にも振り回し殺害した。

昭和21年7月8日福岡地裁飯塚支部は死刑判決。同年11月福岡高裁は控訴棄却し死刑が確定。翌22年死刑執行。


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