青梅・姉妹バラバラ殺人事件


−経緯−
平成13年7月27日、警視庁は東京都青梅市のマンションに住む北原ひとみ(当時41歳)を同居している姉の早苗さん(当時44歳)を殺害したとして逮捕した。この時、ひとみは早苗さんを絞殺した後、風呂場で遺体を電動ノコギリでバラバラにして9つに分けて車で運び遺棄しようとしていたところだった。

直接の逮捕のきっかけは、ひとみが男友達に携帯で「遺体遺棄の手伝い」を連絡したため、この男友達から警察に連絡が入り、急行した警察官が現行犯逮捕したのだった。

−幸せの淵から転落のきっかけ−
ひとみは長野県で二人姉妹の妹として生まれた。地元の県立高校を卒業後、東京都内の短大に進学。卒業後は、小・中学生の家庭教師で生計をたてていた。20代から内縁の夫と10年間同棲していたが、やがて破局。離縁して青梅市に住む姉の早苗さんの家に居候となる。

姉の早苗さんは、地元の県立高校を卒業後、東京の短大で服飾を専攻。卒業後アパレル関係の仕事を転々とした。32歳のとき見合いで結婚。義父母の援助で青梅市内の閑静な住宅街の一戸建を購入。結婚の翌年には子供も生まれ幸福な生活を営んでいた。

早苗さんは、ひとみとは異なり外交的で家のガレージでブティックを開いたり、地元のママさんバレーに積極的に参加していた。バレーの練習やブティックの仕事で家を空けがちの早苗さんに代わって同居していたひとみが家事洗濯、子供の面倒を見るなど近所からは仲の良い姉妹と評判であった。

ところが、この姉妹に突然異変が起きた。早苗さんの夫が同僚との酒宴で突然脳溢血で急死。働き盛りの40歳だった。夫が死去すると義父母が援助してくれた家には居づらかった。そこで早苗さんは夫の生命保険金8000万円を資金として近くの分譲住宅を購入し1階をブティックにして2階を住居にする生活設計を描いた。その家が完成するまで姉妹は近くの3DKのマンションに引っ越した。

−謎の女性−
12年前、東京都渋谷区にあるパソコン教室でひとみは鈴木奈津子(仮名:当時38歳)と出会う。奈津子は交際していた男性の浮気で情緒不安定になりひとみは親身になって相談を聞いていた。やがて、奈津子は東北の実家に戻るが、うつ病の治療の為二週間おきに上京。その度に、ひとみのマンションに寄るようになった。その頃、ひとみは内縁の夫と別れて早苗さんの自宅に居候となる。当然のように奈津子も早苗さんの家に滞在するようになった。ここに青梅のマンションに女3人の奇妙な共同生活が始まる。

平成12年7月19日、3人は荻窪にあるボーイズ・バーに出かけた。早苗さんの友達の紹介だったのだが、3人はチョットした冒険のつもりだった。早苗さんの子供の面倒は、長野から呼んだ実家の父親に頼んだ。このボーイズ・バーで完全に「はまった」早苗さんは、連日青梅から通うようになる。

1回に10万円、20万円と豪遊するため夫の保険金の8000万円はあっという間に底をついた。まして現在建築中の家の支払いを考えれば8000万円全額が豪遊できる訳ではない。これに対して、ひとみは早苗さんに再三注意するが、のめり込んでいる早苗さんには伝わらなかった。

「このままでは、破綻する」と思ったひとみは、7月24日午後8時頃、久し振りに青梅のマンションに帰ってきた早苗さん(この頃、ボーイズバーの店長と東京で半ば同棲生活していた)がウトウトしているところを腰紐で絞殺した。

−驚愕の公判−
公判は検察側がひとみに対し懲役15年の求刑。大きな争点はなくこのまま結審かと思われた最終公判で、ひとみは「異議申し立て」を行う。要約すると、「実は奈津子が姉を殺害し自分は遺体切断を手伝っただけ」というものだった。早苗さんが悪いのに、ひとみが建設中の家の支払いができないことを叱責していることが我慢できなくて早苗さんを殺害したという(資金の管理はひとみが任されていたのは事実)。

なぜ、急にこの告白をしたのかという裁判官からの質問にひとみは「逮捕後、何度か手紙のやりとりをしている中で、奈津子がお姉さんを殺害したことを忘れていることに気付いた。今は忘れているが、いつか思い出したときに奈津子が苦しむだろうから」と説明した。

実は、奈津子はうつ病の治療で多量の薬を飲んでいた。この一部の薬は「ブラックアウト」即ち記憶が無くなる副作用があるという。が、それもせいぜい2〜3日間で、次第に記憶が戻るようだ。奈津子には早苗さんの殺害の記憶は無いし完全に否定している。結局、この告白は取り上げられずひとみが実行犯として現在服役している。

刑務所のひとみから奈津子宛に「奈津子なら病気だし、薬を飲んでいたから罪にならないよね」という手紙が届く。身代わりをお願いしたのだ。奈津子は「お母さんもいるから、それはできない」と返信。それに対してひとみは「奈津子はお母さんを選んだんだね」と送ってきた。ひとみと奈津子の同性愛の関係は、日々の手紙交換で続いていると言う。


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