全日空ハイジャック事件


−経緯−

平成11年7月23日午前11時25分頃、全日空61便・羽田発千歳空港行きジャンボ機(乗員・乗客517人)が西沢裕司(当時28歳)にハイジャックされた。羽田空港を離陸直後、西沢はシートベルトを外し近くの客室乗務員を包丁で脅してコクピットに向かった。

客室乗務員の連絡でドアを開けさせ副操縦士と乗り合わせていた機長2人をコクピットから追い出した。西沢は副操縦席に座り、長島直之機長(当時51歳)に「操縦させろ」と包丁で脅した。

長島機長は《ハイジャック信号》を管制塔に送りコクピットの会話を送信していた。機長は犯人を興奮させないよう西沢の指示を聞くフリをして解決策を模索していた。離陸後わずか数分の出来事で高度は1300メートル足らず。大型機にとって低空飛行ほど危険を伴う状態は無い。そこで、機長は西沢に向かって「高度を上げて行きましょう」などと声を掛け操縦をさせているように見せかけている。が、実際には機長が操縦の主導操作していたのは明らかだ。

ハイジャックから10数分後、突然機長の悲鳴が管制塔に聞こえた。と同時にジャンボ機が高度を下げていく。危険を感じた副操縦士と乗り合わせた機長2人がコクピットのドアを蹴破り操縦席に座っている西沢を取り押さえるとともにジャンボ機の姿勢を安定飛行に戻し墜落を回避した。
長島機長は、西沢に包丁で刺され即死状態だった。

−動機−
犯人の西沢は一橋大学を卒業後、運輸関係の会社に3年間勤務したが犯行当時は無職だった。自宅で航空機のフライトシミュレータに熱中し「ジャンボ機で宙返りやダッチロール、レインボーブリッジの下をくぐってみたかった」と自供。

さらに長島機長を刺殺したのは「操縦を邪魔したから」とか機長の心に向かって「疲れてませんか?」と問い掛けたら「疲れている」と答えたため楽にしてあげようと思い刺したなどと支離滅裂な自供をした。このため、精神鑑定を数回受けて現在公判中。

尚、全日空は平成14年7月に西沢と両親に対して機長の遺族補償や乗客の他便への乗り換え、同便の修理費などで1億9400万円の損害賠償を求める訴訟を東京地検に起こした。


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