パラコート連続毒殺事件


−経緯−

昭和60年9月14日夜、大阪府泉佐野市のAさん(当時52歳)が、パラコート入りのドリンク剤を飲んで「急性心不全」で死亡した。Aさんは、10日早朝、和歌山県に釣りに出かけた。途中の国道沿いの自動販売機で牛乳、缶コーヒ、栄養ドリンク剤(オロナミンC)を購入した。硬貨を入れ取り出し口からドリンク剤を取ろうとした時、2本あったため間違えて余分に出てきたと思い2本を取り出した。釣りを終えたAさんはドリンク剤を飲まず、自宅に持ち帰った。

11日午後3時、Aさんは自宅でドリンク剤2本を飲んだ。この時、2本目のドリンク剤を飲んだところ異臭がした。その後気分が悪くなり午後6時頃病院に搬送された。13日になると呼吸困難になり14日に急性心不全で死亡したのだった。

一方、三重県松坂市ではBさん(22歳)が11日午後11時過ぎ、自宅近くの自動販売機でドリンク剤(リアルゴールド)を購入した。取り出し口には2本あったため、やはり間違えて余分に出てきたと思ったBさんは自宅に持ち帰る。
自宅で飲んだBさんは、吐き気と激痛により病院に運ばれたが14日に死亡した。

このオロナミンにはパラコート(除草剤)が混入していた。リアルゴールドにはパラコートではないが同種の劇薬が混入していた。
10日と11日に連続して自販機に毒入りドリンク剤が置かれていた為、同一犯人の疑いもあるとみて警察は捜査を開始した。

本事件の2ヶ月前にも京都・福知山市で同様の事件が発生していた。Cさん(当時48歳)が国道沿いの自販機でリアルゴールドを買って飲んだところ、急に苦しみだして1ヵ月後に死亡している。
さらに、毒入り無差別殺人事件は全国に広がっていた。
9月19日福井県で30歳の男性が毒入り缶コーラで死亡。同月20日宮崎県で45歳の男性が毒入りリアルゴールドで死亡。10月6日埼玉県鴻巣市で44歳の男性が毒入りオロナミンCで死亡。同月21日宮城県で55歳の男性が毒入りドリンク剤で死亡。11月17日埼玉県浦和市で43歳の男性が毒入りオロナミンCで死亡。同月17日17歳の女子高校生が毒入りコーラで死亡。このコーラ瓶には「毒入りに注意」の警告書があった。

−迷宮入り−
全国に広がった毒入り連続殺人事件は、国会でも取り上げるところとなり警察も大規模な捜査を続けたが、犯人逮捕には至らなかった。犯行の地域的な部分(主として埼玉県、大阪周辺)、使用したドリンク剤に共通項(オロナミン、リアルゴールド、コーラ)があり、犯人像にある程度絞り込めるのではと推測されたが、当時は防犯カメラが設置されていた自販機は皆無で、結局事件は迷宮入りとなった。

もし、自販機の取り出し口に購入した同種のドリンクが余分にあったら、軽い気持ちで持ち帰るだろう。犯人は、この心理に付けこんで毒入りドリンクの取り出し口に置いて無差別殺人を実行した。この行為は完全にテロである。

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毒物混入のドリンク剤があった自販機


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