吹原事件


−経緯−

昭和40年4月23日、東京地検は貸しビル業・吹原産業の吹原弘宣社長を詐欺容疑で逮捕した。さらに、5月10日には金融業・森脇将光を恐喝未遂の容疑で逮捕した。

前年の昭和39年7月10日の自民党総裁選で、造船疑獄を逃げきった池田勇人・佐藤栄作それに藤山愛一郎の三人が立候補していたが、僅差で池田が三選を果たした。この総裁選で10億円の金が乱れ飛んだと言われている。
この時に、池田派・佐藤派両陣営が資金援助として頼ったのが、高利貸し金融業の森脇だと言われている。

同年10月16日、池田内閣の黒金内閣官房長官と親交がある吹原産業の吹原は、三菱銀行長原支店(東京都大田区)を訪れ「自民党本部の資金30億円を預金したい」と黒金の実印付きの保証書を見せた。応対した支店長は黒金保証書を信用して、額面20億円と10億円の通知預金証書を吹原に手渡した。
ところが、いつまでたっても自民党から30億円の預金が無く、三菱銀行は通知預金証書を詐欺されたとして吹原を詐欺罪で告訴。翌年、昭和40年4月、前述の通り吹原が逮捕された。

−吹原と森脇、自民党の言い分−
吹原を取り調べると、その後、通知証書を持っているのは森脇だということが判明した。森脇が東京地検に供述した内容とは「昭和39年10月18日、吹原から自民党総裁選の資金で金がいる。先日返済した大和銀行の30億円の小切手を三菱銀行長原支店に通知預金して欲しい。その代わり三菱銀行の30億円の通知預金証書を差し上げる。三菱銀行の頭取と黒金の間で60億円の融資が決まる為、その中から金は引き出せる」ということだった。が、三菱銀行からは、預金が無いから引き出せないと言われたということだった。

一方、吹原は「森脇からの借金が536億円(大半は利子)にもなってしまった。そこで、森脇から自民党総裁選資金を黒金に貸し出すという名目で銀行から何回か出し入れし、銀行が信用したところで、多額の現金を引き出せ。それで借金の返済をしろと強要された。仕方なく、黒金から預かっていた実印を偽造して黒金保証書を作成したと供述した。

自民党は、森脇逮捕の4日後、佐藤内閣の高橋法相が「黒金保証書は偽造のもの。事件は、政界とは何ら関係無い」と異例の記者会見を行う。結局、政界へのメスは入らず、森脇が懲役5年、吹原が懲役9年の実刑判決が下ったのみであった。


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